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再度、年少扶養控除の廃止と子ども手当

*2010年6月16日、たかみさんからのご指摘により、記事の内容を改めました!

当ブログでは、「源泉所得税の改正のあらまし(平成22年4月)」「年少扶養控除の廃止による増税額を試算してみた」という記事において、子ども手当と年少扶養控除の廃止にまつわる問題点を指摘してきたわけだが、どうも予想通り、子ども手当の全額支給は見送られる方向になってきている。

その一方で、年少扶養控除の廃止の是非については、新聞などのマスコミにおいて、話題にすらなっていない。

これは本当におかしな話で、子ども手当の満額支給(2万6千円)と年少扶養控除の廃止は本来はワンセットの政策であった筈です。

それを、なし崩し的に子ども手当だけを削っておいて、しかもなお年少扶養控除の廃止については予定通りに進めるということになると、結局は子育て世代の負担増という、何といいますか、有権者をバカにした結果になる可能性があります。

年少扶養控除の廃止による増税は来年以降の話になってくるので、まだピンと来ないのかもしれないけど、2010年中には決めなければいけない話だし、その割には、子ども手当と増税の関係について分かりやすく説明している例はあまり見当たらないような気がする。

そこで、「年少扶養控除の廃止による増税額を試算してみた」において増税額を試算していますが、今一度、国税(所得税)と地方税(個人住民税)に分けて、子ども手当と増税の損得について試算してみることにします。

想定したのは、16歳未満の子どもが2人で奥さんは専業主婦、ご主人が40歳以上であるサラリーマンのご夫婦です。

社会保険料率などの計算根拠は前掲に記事に準じます。

子ども手当の月額が現行の1万3千円とすると、想定例では子ども2人なので、13,000 × 12 × 2  = 年額 312,000 円ですね。

年収 300万円 500万円 800万円
給与所得控除後の所得金額 1,920,000 円 3,460,000 円 6,000,000 円
社会保険料控除額 403,500 円 672,500 円 1,076,000 円
現行の年税額 (国税) 0 円 63,300 円 253,300 円
現行の年税額 (地方税) 23,600 円 150,700 円 364,400 円
年少扶養控除廃止後 (国税) 37,800 円 105,200 円 405,300 円
年少扶養控除廃止後 (地方税) 89,600 円 216,700 円 430,400 円
増税額 (国税) 37,800 円 41,900 円 152,000 円
増税額 (地方税) 66,000 円 66,000 円 66,000 円
増税額・合計 103,800 円 107,900 円 218,000 円
子ども手当 (2人分) 312,000 円 312,000 円 312,000 円
差額 (年額・子ども2人分) + 208,200 円 + 204,100 円 + 94,000 円

試算の結果、いかがでしょうか?

「なるほど、こんなものか」と考えるのか、それとも ・・・

ところが!

上記以外にも、子ども手当の創設により現行の児童手当が廃止になるという点も考慮に入れる必要があります。

現行の児童手当は、小学校までの児童1人あたり月額 5,000 円、3歳未満の赤ちゃんには月額 10,000 円 支給することになっています。設例のご家族で、仮に月額 15,000 円の児童手当を受給していたと仮定すると、そのマイナス分は年額 180,000 円。そうすると、子ども手当のメリットなどなくなってしまいますね ・・・ むしろ逆に、負担増になるご家庭もきっと出てきます。

いずれにしても、子ども手当や年少扶養控除廃止に関して、民主党は重大な公約違反を犯しています。税制や社会保険の根幹にかかわる問題について、このようになし崩し的に決めてしまってよいものなのかどうか、疑問が残ります。

shinokawa-office.com

コメント:20

たかみ 2010年6月15日

説明わかりやすいです。
ですが、子どもが2人を想定されているので、62000円追加で納税ではなく、322000-218000となって、104000プラスになるのではないのでしょうか。

つまり、高所得者優遇の制度ではないのでしょうか。理解力が悪いのかもしれません。説明いただければと思います。

篠川 2010年6月16日

たかみさん!
コメントありがとうございます。
ご指摘の通り、私の計算間違えです・・・
子ども2人と想定しているので、子ども手当は年額 156,000 × 2名 = 312,000 円ですね。
そこで年収800万円の場合では、312,000 – 218,000 = 94,000 円のプラスになりますね。
基本的なことを間違えて、しょうがないですね ・・・
追って、記事の内容についても修正しておきたいと思います。
なお、
「高所得者優遇の制度」とのご指摘ですが、そこまで言い切ってよいのかどうかは分かりません。ただ、低所得者にとってさほどメリットが有るわけではないということは言えるかと思います。その最大の理由は、地方税(個人住民税)が所得にかかわらず10%のフラット税率であるということです。
「控除から給付へ」という流れがいかに素晴らしいものか(諸外国で採用されている云々)と言っている人々もいますが、その前提として、所得に対して累進課税(所得が増えるほど税率も上がる)が採用されていなければあまり意味がないのではないかと思っています。

たかみ 2010年6月16日

わかりやすい返答ありがとうございました。
また、表までわかりやすく掲示いただきありがとうございます。表を見ると、基本的には、子どもがいる世帯は20万円程度の恩恵を受けることができるのですね。そして、高所得者は10万円弱と。
表についての質問ですが、国税と、地方税率はどこの自治体でも同じなのでしょうか。

おっしゃるとおり、全額支給ができないなら、各種扶養控除の廃止も取りやめるべきだと思います。

篠川 2010年6月16日

たかみさん、
早速のコメント、恐縮至極です。
地方税率については、当サイト内の「国民健康保険・2010年度」を参照していただければと思います。
当方、ブログ初心者で行き届かぬ点も多々あるかとは思いますが、今後とも「税理士・篠川 とりとめのないブログ」をよろしくお願いします。

石松栄二 2010年12月19日

子供手当て額と増税額の関連は、よく説明されています。
しかしながら、年少扶養控除廃止により、所得税非課税世帯(住民税は課税)に所得税が課税されるようになったとき、1人の子どもが保育園に通園していれば保育料は月額1万円の増額になります。年間12万円です。2人であればもっと大きな額になりますよ。

篠川 2010年12月19日

石松さん、コメント有難うございます。
なるほど、保育料の増額ですか・・・そんな影響もあるんですね。。。
所得税や住民税の増税、児童手当の廃止 etc…
考えれば考えるほど、超ド級の改悪なのではないかと思ってしまいますね!

てる 2011年1月28日

こんにちは、子供3人(9歳、6歳、4歳)を育てている川崎市に住む主婦です。
「3歳未満に月2万円を盛り込んだ子ども手当法案が通らなければ、4月からは以前の児童手当に戻ります」とニュースでアナウンサーがあまりにもさらっと説明していたのですが、大混乱になるのではないかと思います。
子供手当て支給の変わりに年少扶養控除が廃止になりましたよね。
児童手当に戻るのなら、年少扶養控除も復活してもらわないとものすごく困るのですが、どうなると思いますか?
ニュースではもちろん「年少扶養控除」のことは全くやっていません。

それに児童手当に戻ったら起こる混乱のもうひとつはかなり深刻です。
子供手当てに変更になった際に所得制限が無くなったので、その所得把握のシステムを破棄しているらしく、所得制限のある児童手当に戻ったら実際には支給できなくなる、というものです。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110124/fnc11012422460204-n1.htm

しかも、うちに川崎なのでシステム云々に限らず、手当て自体支給されなくなるような気が。。

ほんと、国民が振り回されているだけでいやになります。
民主党にははじめから期待もしていないし、投票もしていなかったのですが、ここまで混乱を招くとは想像していませんでした。

主人も会社で子供のいない(それどころか結婚もしていない)同僚に
「子供手当てで、金もらえてウハウハっすね!」って嫌味をいつも言われているようですが、実際は控除が結構減っているのでウハウハでもなんでもないです。
子供も奥さんもいなくて稼いだ金で毎晩飲みまわっている奴に言われて悔しいと嘆いております。

とりとめのない愚痴ですみません。

篠川 2011年1月29日

てるさん、コメント有難うございます。
私も3人の子ども(うち2人が16歳未満)の親として、「児童手当に戻るなら、年少扶養控除も復活してもらわないとすごく困るのですが」・・・・まったく同感です。
しかし、税法の仕組みというか、扶養控除については暦年(1月から12月)での適用となるため、本年分について途中で変更するのは難しいと思うし、それどころか、来年(平成24年分)の扶養控除についても、現国会で審議される税制改正大綱には触れられていないため、年少扶養控除の廃止を廃止することは、余程のことがない限り、難しいのではないか・・・そう思っています。
しかし、それではあまりにもひど過ぎる ・・・ そうも思っていますが。。。
それと~
ここは 「とりとめのないブログ」 なので、とりとめのない愚痴、大歓迎です!

てる 2011年1月29日

篠川さん お返事ありがとうございます。
やはりそうですよね。控除廃止の廃止は難しいですか。
昨年末書いた会社から来た控除の書類、子供のことを書く欄が無くて控除額も思いっきり減ってて悲しくなったのですが、減らしたものを戻すのは難しいですね。増やしたものは簡単に減らすのに。ダイエットと逆ですね;;

民主党が子供手当を打ち出したときに、あちこちからばら撒きだと批判を浴びました。でもただばら撒いているだけでなく、ちゃっかり控除を廃止していたのに、それを知ってる人はあまりいなかったように思えます。
だから、私はうすうすこうなると思っていました。

子供手当て与える(マスコミでは大々的にやらないから知らない人多いが、こどもの扶養控除やめる)

ばら撒きだと批判がくる

じゃあ、元に戻しますとやって、民主党よくやったとなる(子供扶養控除は戻らないから子供いる人は実質マイナスになるが、みんな気づかず)
もらう前から、絶対にこうなると思っていました。
こんなんじゃ、子供を生み育てようなんて人がますます減ってしまいますね。
出産の手当てこそ増えましたが、その後がひどすぎますね。
でも、日本はそこそこ幸せに暮らせてしまうから、エジプトやチュニジアみたいにはならないのが、いいのか悪いのか。

篠川 2011年1月31日

てるさん、コメント有難う。
最近の報道によると、民主党国会対策委員会が「子ども手当法案を成立させる必要性」と題する文章を作成、法案が成立しない場合には、子ども手当導入で実施された控除廃止の影響で全受給世帯で児童手当当時より実質手取り額が減少 ・・・ 問合せが殺到し窓口が混乱するおそれがある、と指摘しているそうで~す。
本末転倒と言うべきでしょう。
子ども手当が廃案になるのだったら、年少扶養控除の廃止も廃止すべきこと、そんなの当たり前でしょう!
子ども手当は民主党の看板政策だから引き下がれない ・・・ なんて、冗談じゃないですよね!!

おかあさん 2011年2月7日

こちらにも失礼します。
年少扶養控除の廃止の廃止運動
どこかでやってないでしょうかね・・。
署名参加したいですわ。

kyaz 2011年2月15日

はじめまして、「年少扶養控除」で検索でまいりました。ご丁寧なご説明ありがとうございます。
子ども手当の分、なんかが減るけどなんだろう?と思っていたときに、この言葉を知りました。
わかりやすいですので、私のブログで、こちらのブログを参照しながら全文を転載(表も)したいのですが、いかがでしょうか?

「子ども手当がもらえるから、得だ」とは、なんでだか、感覚の面でどうしても思えず、そしたら、こちらのがっちりとした理論にたどりつきましたので・・・
多くの人に知っていただきたいと思っています。

篠川 2011年2月15日

kyaz さん、コメントありがとう。
記事の内容、気に入ってくれたのなら、どうぞ転載してください。その際、出所を明示していただけたら嬉しいです。
それにしても・・・
最近の動向を見るにつけ、子ども手当の廃案⇒児童手当の復活という流れが出来つつあるようで危惧しています。
てるさんのコメントの通りなのですが ・・・

ひろすけ 2011年2月25日

はじめまして。
「1月分給与明細の天引きされている税額が増えている!」
給与は折からの景気によりカットされているのに、税金が増えるとはなにごとだと、いろいろ調べて年少扶養控除の廃止にたどり着きました。

自民党が予算の組換を発表しましたが、控除廃止には触れられていません。
結局、「取るものは取る」、「取れるところから取る」という、財務省の言うことは、どの政党でも逆らわないんですかねぇ・・・

篠川 2011年2月25日

ひろすけさん、コメントありがとう。
「財務省の言うことは、どの政党でも逆らわないんですかねぇ・・・」 私なりの感想をひとこと・・・
子ども手当は今までの児童手当の代替として支給されているわけですが、児童手当が厚労省の担当分野だったからといって、子ども手当についても厚労省の理屈と発想の枠内で推し進めようとしている態度が甘い!と私は思うのです。
扶養控除というのは税法の根幹をなす部分です。にもかかわらず、子ども手当の財源としてあっさり廃止してしまった、そのことに対する自覚の希薄さ、あるいは当事者能力の欠如、この点が問題だと思うのです。

おかあさん 2011年2月28日

すみません。
実は先日はてなの匿名ダイアリーに転載しました。
http://anond.hatelabo.jp/20110216132844
だれかが動いてくれればと思って。
事後承諾ですみません。

産経新聞の件で見直しがあればいいんですが・。

ひろすけ 2011年2月28日

早速の返信ありがとうございます。

議員が身を削って、「痛み」をわかちあう姿勢を見せていれば、まだ「・・・」ですが、自分の歳費・特権は温存のままで、かつ、「控除」を廃止することが正直「?」です。

相続税も控除が縮小されるようですし、大人にも子どもにも厳しい社会にしたい、と言うより社会主義国に一直線のような気がしてなりません。

とく 2011年3月23日

震災が起きたあとなのですが・・。
年少扶養控除廃止やこの先起こるであろう子ども手当て廃止の件で、どうして民主党ばかりが批判されるのでしょう?
増税のことには触れずにバラマキと世論を煽っているのは自民党やマスコミなのでは?
参議院選挙で自民党を勝たせたから、ねじれが起こって増税はそのまま、子ども手当ては廃止という状況になったのではないのでしょうか?

政治にクリーンさを求めてばかりでは(必要だけど)、表にでない官僚に結局、上手いことやられているように思います。

なお 2012年6月22日

はじめまして、4人子育て中のパパです
年少控除がなくなりまして稼いでも稼いでも
保育園の保育料が上がって四苦八苦しています
(保育料の算定が前年の所得税に対して算定されるためです)
足りない分をダブルワークなどで稼いでも
次年度に住民税やら保育料やら上がって
もう、どうしたらいいねんって感じです

篠川 2012年6月23日

なおさん、コメントありがとう。
おっしゃる通り、年少扶養駆除の廃止は、小さなお子さんを保育園に預けてダブルワークされている子育て世帯を直撃しているのではないでしょうか?!
保育料の算定にあたっては年少扶養控除廃止前の税額に換算している市町村が多いようですが、それでも、保育料や社会保険料の値上げなど、出費は増えるばかりです。
結局、子ども手当は従前の児童手当とほぼ同額になるまで減額しておいて、にもかかわらず、年少扶養控除を再開する気配すらない ・・・ これは一体どうゆうことなのか??
エアポケットに落ちてしまったような、見捨てられた論点なのだろうか??
おかしいと思います!

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